第1回東京カープ会  993記

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二宮 皆様、それでは乾杯でもやりましょうか。第一回東京カープ会と来シーズンのカープの優勝を祝しまして乾杯!
それでは、本日のゲストをご紹介します。川口和久さんです。皆様、盛大な拍手をお願いします。
そして、田辺一球さんです。
そして司会は私、二宮清純が務めさせて頂きます。よろしくお願いします。
というわけでですね、今日は市民球場よりもお客さんが入ってるんじゃないかっていうぐらいですね、約八万人ぐらいの方が詰め掛けてくれたと思いますが、とりあえず、じゃあ川口さん、乾杯しましょうか。
川口 はい。よろしくお願いします。
二宮 皆さんもう一回、乾杯。
さあ、勝利の美酒に酔いしれて優勝のビールかけをやるのはカープはあと何年かかるかっていう話でございますけれども。
客席 来年、来年。
二宮 来年という声が出てますが。まずですね、最初のお話といたしまして、今、樽募金。広島市を中心にいろんな所で行われておりますが、これまあ、新球場を作るための原種にしようということなんですね。まあ、でも一億じゃあですね、目標が一億ということなんですけど、これはもうブルペンも作れないんじゃないかなと。仙台なんかね、楽天がね、三木谷さんがいきなり三十億ポンと出したっていうですね。それに比べりゃちょっとこのカープの市民球場は私も愛着があるんですが、ちょっとやっぱり今のプロの球場としては、ちょっと侘しいんじゃないかと。今日ですね、実はですね、この東京カープ会を開くきっかけになったのもですね、実は皆さんご存知の方もいるでしょう。そうじゃない方もいるかもしれませんが、例の縮小を企てたですね、いろんな葉巻を銜えた方とか色々いらっしゃいましたが、一リーグ八球団構想だったんですよ。こうなったらカープはなくなってたんですよ。これ本当の話なんですよ。で、やっぱりそれをですね、その縮小というものは、受け皿も少なくなればですよ、野球少年の夢も奪うだろうと。私は拡大均衡と。縮小均衡ではなくて、やっぱり拡大して発展させるというのがプロ野球の未来のためなんじゃないかと論陣を張ったわけでございますが。さて、まず田辺さん。その辺のですね、広島のですね、危機感みたいなものがちょっと僕、東京から見てて足りないんじゃないかという気もしたんですが、いかがですか?
田辺 危機感は行政にはないですね。言い切ります。今日は行政の方いらっしゃいませんので言い切ります。いつも広島では遠慮してますんでね。というのはですね、やはり今、二宮さんがおっしゃったように、今シーズンカープがなくなるかもしれない時点においても、やっぱり広島の自治体、市役所の方は「パリーグの話だからうちは関係ないだろう」ということを、中国新聞にもはっきりコメントに載せてるわけですよ。ですからもう、東京ではカープがなくなると言ってる時にですね、向こうでは何も言わないと。知らないと。こういうことが全てがずっと…だいたい新球場ができるっていうことが始まったのは、カープがV6した平成三年あたりからですからね。ですからもう十年以上グダグダやってきて危機感がないことが、結局今になったと。そして今、二宮さんがおっしゃったように楽天が仙台に行ってですね、一気にやるというのを聞いて初めて「他がやるからうちもなんかやらにゃいけんな」ということで、バタバタと今、市が中心になって経済界が中心になって、さらに松田オーナーが自ら参加して、市役所でボソボソと、もう一回新球場どうしたらいいかなと相談を始めたところですね。
二宮 田辺さん、新球場作ろうと言って何年になるんですか?ヤード跡地だとか今のを建て替えるとかずっと、十何年前から僕聞いてるような気がするんだけど。
田辺 そうです、そして今おっしゃったように前はヤード跡地で建てるという時はですね、市民球場のことはほったらかしでヤード跡地をどうするかという議論だけに終始したんですよ。というのはですね、あのヤード跡地を買っても利子が高くなるんで、あそこは何とかしなくちゃいけないんで、市民球場はおいといてそっちの議論をしてたんですけども、今度はですね、ヤード跡地をおいといて市民球場の代替案をどうするかという議論になってるんですよ。そしたら今度は広島駅前の人がですね、「やっぱりヤード跡地の方に作ってくれよ」と。またこれで堂々巡りになる可能性は高いですね。
二宮 結局二転三転してグルグルグルグル企画書が回っているという、全然前に進まないような気がするんですよね。その辺、川口さん、市民球場に愛着はあるでしょうけども、どうですかね、やっぱりちょっとプロが使う球場にしてはしんどいというところがないですかね?
川口 そうですね。今までカープ、私十四年いまして、一つのセリーグという中でカープというのはね、輝いていた時期もあったし、今こうやって球場としては古い球場になってしまったと。で、そこから球場に来るお客さんというのは、広島の人っていうのは非常に敏感になってて、弱くても入らない。強すぎても入らない。一番困ってるんですよ、選手がね。だから、じゃあなんで来ないのかといったら、球場の中でやってる野球を見るのではなくて、一人の野球選手に魅力がなくなってきてるわけですよね。その一人の、嶋君であれば嶋君を見に来るお客さんというのは非常に少ない。やはり野球の勝つ、負けるというのも大事なんですけど、人でお客さんが呼べなくなってきていると。そういうところから、視聴率も下がってる。私、今年何回か市民球場で放送させて頂きましたけど、非常に視聴率が下がってます、と。
二宮 巨人戦特に下がってるんですよね?
川口 そうですね。で、下がってる中にやはりそういう要因がいっぱいあるわけなんですよね。じゃあ、しょっちゅうしょっちゅうカープの試合をね、四社、ホームテレビであるとか広テレだとか四社ぐらいあるわけじゃないですか。RCCを含めた、新広島から色々とね。やはり格段的に視聴率が下がってるというのは、いつもご飯食べる時もカープっていうのはそばにあったんだけど、逆にそれが消えかけてるというのにね。その広島の関心の無さ。じゃあ、東京の人はこれだけ関心があるんだとね、こういうことをどんどんと伝えていかないとカープっていう球団終わっちゃいますよ。
二宮 広島の方が、地元が危機感がないと。
川口 ないですね。僕はそう思いますね。
二宮 その辺は田辺さん、どうですか?広島にいて。
田辺 今おっしゃったことがその通りで、今日のニッカンですね、こうして持ってきたんですけど赤ゴジラがここ(一面)に久しぶりに出たと。さっき二宮さんと話してたんですけど。こういったことがほとんど東京ではありえん話になってるわけですよね。今、川口さんがおっしゃったようにファンの方っていうのは、チームもそうですけど選手に魅力を感じて、ホークスの城島が好きとかですね、そういった流れが非常に大きくなっているんですけども、カープの場合は今までは個性を売ることを良しとしない球団方針があったと。みんなでね、同じように一緒にやっとけばいいんだと。一人だけがTBSに行って目立ったようなことをするなと。そこまでは言ってないんですけども、結果的にはそういう形になっているんですよね。だってテレビで見ないじゃないですか、カープの選手を。この年末年始にカープの選手がはたして何人出て、出る人は出るんですけど、そこを編集してもらえるかどうかっていう問題なんですよね。
川口 ある球団関係者にね、僕が現役を辞めてからね、「これからの野球っていうのは、一人の選手を追ってどれだけファンがつくかなんですよ」っていう話をしたら「うちはいらん」って言われたんですよ。だからその時はまだね、一リーグになるどうのこうのではなくて、これからカープっていうね、僕がなぜカープのことをね、これだけ言える様になったかっていったら、僕が広島にずっといたんであればこれだけ喋れないんですけど、広島という球団を出て他球団から、東京からカープを見た時に、明らかにカープの情報が少ないわけじゃないですか。だから僕は嶋がね、東京の一面を飾った時にすごくうれしくて、この新聞持って広島に行ったんですよ。やはりそれだけ魅力のある選手をどんどん作っていくということが、これからのカープの大事なところだし、やはり新しい球場の中で羽ばたいていく選手がどれだけね、これから出てくるかだと思うんですよ。
二宮 その球場ということにおいて言えばですね、やっぱりやってる選手たちっていうものが、はっきり言って市民球場の場合ですね、ブルペンなんかも悪いけどみすぼらしいと。やっぱりプロの選手っていうのはもっといい球場でやりたいという気持ちが強いわけでしょう?
川口 そうですね。ある意味、お客さんは球場にいる選手とディスカッションなりであるとか、アイコンタクトであるとか、「あ、私を見てくれてる」とかね。僕らの時代の時はブルペンっていうのはすぐ横で投げてたじゃないですか。今は試合のためにナーバスになってるのかしらないけど、奥へひっこんじゃってみんなピッチングやってるでしょう?やっぱりファンサービスっていうのは、これじゃ意味がないと思うんですよ。
二宮 津田プレートとかってあるじゃないですか。ご存知の方多いと思いますけどね、市民球場に津田プレートっていうのがあって、そこを触って出て行くというね。ああいうものをね、一般の人見れないんですよね。
川口 そうですね。あの垣根をとってほしいですね、僕は。
二宮 やっぱり一般の人が見れればね、「そうだ、津田の魂を引き継いで投げてるんだな」ってね、それで一つの物語になりますよね。
川口 津田プレートがあの中にあって、なんで外にないのかっていうのも一つの疑問じゃないですか。
二宮 疑問ですよね。それは田辺さん、広島の現役の選手たちっていうのはやっぱり今の球場には不満持ってるわけですか?
田辺 今の選手はね、変わってきましたよ。特に今回、選手会長が西山選手がいなくなったんで、黒田選手会長になってですね、その下に新井・澤崎っていう二人が副でついているんですけども、自分たちからですね、今おっしゃった通り、例えば年間指定席を買われた方の所にはですね、我々のグローブやバットとかがね、見えたり触ったりできるような陳列ケースといいますか、あってもいいんじゃないかと。ま、持っていって置くだけでもいいですよね。だからとにかくファンの方は、その選手のグローブや、あるいは選手と握手するだけでですね、これはすごい行った甲斐があるんですけど、そういう球場に来た価値を今から作っていきたいという選手の気持ちがやっと今出てきてますね。
川口 だからね、僕が広島の現役時代にサイン会だとか握手会だとかしたことないんですよ。
二宮 なんで?しちゃいけないって決まりがあったの?
川口 いや、しようとしない球団だったんです。
二宮 それは何となく、そうすることが疎ましく思われるような雰囲気があったわけ?
川口 ま、そこまでしなくても試合見りゃいいだろうっていうところではあったと思うんですよ。あの市民球場っていうのは、公園の中にあるんですよ。広島市の公園だったんですよ。以前僕らの時は、ここの公園の前に車を止めて試合をやって車で帰ってた。で、右翼の街宣車が奥の方に止めてて、「ここは公園の土地だからこの車は排除しよう」というふうになって排除した。「じゃ、選手は止めていいのか?」ってことになっちゃったんですよ。それで僕らの車は止められなくなっちゃったわけです。
二宮 で、どこに止めるんですか?
川口 そしたら、そごうの駐車場ですよ。(会場笑)
田辺 皆さん、そごうの前で待ってたら選手出てきますよ。
二宮 そごうの駐車場に止めて、そっから歩くんだ。選手が。
川口 歩いていくんです。それ自体おかしいでしょう?じゃあね、握手会だってカープが、例えば衣笠さんが二千本打ったバットだとかね、そういうものを陳列する所が市の所だから、そんなものも建てられないわけですよ。だから僕は移転するべきだと思うんです。
二宮 移転の方がいいですか?
川口 僕は移転の方がいいです。
二宮 ということはヤード跡地?
川口 はい。
二宮 僕はね、今のところをもうちょっと広げてもいいんじゃないかと思うんですが、ダメ?
川口 いや、それ市が許すかでしょう、結局。
二宮 だから市が許すかって、市は許さないといけないでしょう。
川口 市が許しても右翼が許さなかったら困るんですよ。(会場笑)これすごいややこしい問題。
二宮 田辺さん、そこはちょっと一番詳しいと思うんですが。
田辺 今おっしゃったことに関してだけ言えばですね、今回は市の方からですね、どっちみち誰かの入れ知恵…浅知恵でしょうけど、一応市の発表で今おっしゃったようなことをですね、球場の中にもやって、試合がない時でもお客さんに楽しんでもらうようなことにしたいと。そういう発想は誰でも思い浮かぶんですけど、市が自分から言ったというちょっと新しいニュースはありましたけどね。
川口 だから球場に野球を見に来るというのは一番大事なんだけど、過去の栄光の選手たちの物がないこと自体が僕はおかしいと思うんです。失礼ですよね、ちょっと。
二宮 僕はだからね、新球場を作った時にミュージアムを作りなさいと言ったんです。例えばね、外木場投手の完全試合の時のグローブを置きなさいとかね、金山次郎さんのスパイクが何個かあるとかね、長谷川良平さんの痰壺がある。あ、それは冗談だけど。(会場笑)でも何かね、そういうことがないとね。そしたらやっぱそれ見たら、「はー、カープの歴史ってこうだな」っていうのが分かるじゃないですか。
川口 みんな死んでからやるんですよ。日本の悪いところは。生きてるうちにやることに意義があると思うし、やはり新球場建設というのは僕は急務だと思います。
二宮 ちょっと待ってください、皆さん。一人ゲストを紹介します。上田哲之さんです。拍手をお願いいたします。
上田 すいません、遅くなりまして。
二宮 この上田さんはですね、講談社の出版部長でいいのかな?出版部長で、私の『最強のプロ野球論』ですとか、川口さんの『投球論』とかのですね、そういう編集者でございまして、あとでクイズで出しますがこの方はですね、超熱狂的なカープファンなんです。いまだに背番号14をつけてるというですね。あとでプレゼントはございますけれども。上田さん、ちょっとかけつけで、今ね、球場の問題でこれやってたんだけども、上田さん、新球場についてはどういう風にすべきだと思ってます?
上田 新球場ですか。あのー、条件二つだけです。場所は今の所。でもう一つは天然芝で屋根の無いこと。この二つですね。で、もう一つ言えば外野広くしてほしい。100mぐらいの両翼はあった方がいいんじゃないですかね。
二宮 やっぱりね、カープの選手は足のある選手が今は少ないけど昔は多かったし、若い選手を獲るんだったら、外野広い方がピッチャーだって守ってる時安心でしょう?
川口 当然外野が広い方がピッチャーは投げやすいです。
上田 川口さん嫌いなんですよね、市民球場。(会場笑)
川口 嫌いなのは八回・九回が嫌いだったんです。なぜかというと、八回・九回は北風っていうか、風がライトに吹くんですよ。で、ライトへこすった当たりがみんなファール…ファールにならないでホームランになっちゃったんです。だからあそこ、劇的なドラマが起きるっていうのは後半に起きるんですけどね。
二宮 川口さん、あと昔、ほら、あそこ西日避けがなかったじゃないですか。で、あそこすごい西日がバーッと入ってきてバッター眩しくて見えなかったわけでしょう。あれだから、他のアウェーのチームの時だけはあれあげてね。(会場笑)いやだってホームアンドアウェーなんだからね。カープの選手の時だけ降ろせばいいと思うんですけどどうなんですかね。
川口 いや、いいんじゃないですかね。ホームの利ですからね。
二宮 ねえ、ホームの利だからね。で、あとの選手は別によその球団の選手はサングラスか何かすればいいんだからね。そういうこともっとやった方がいいと思うんですよね。
さあ、ちょっと話を移しまして、新球場の問題はとりあえずそのくらいにいたしまして。
上田 球場のことで僕ちょっと言いたい事があるんです。
二宮 どうぞどうぞ。
上田 すいませんね、ちょっと。遅れてきて言ってなんなんですけども。あのー、広島っちゅうところは、一応はやっぱり原爆が落ちて、市民球場作って今が成り立っているわけですね。それであの、歴史を考えますとね、厳島神社っていうやつがあって、これ全部人の受け売りなんでどなたの受け売りかはちゃんと後で言いますけど、大鳥居の向こう側…船に乗って大鳥居から弥山を見るっていうのが正しい厳島神社の眺め方なんですよね。で、その大鳥居から弥山にいたる線っていうのが広島の聖なる線なんですよ。で、平和公園を作った人っていうのは丹下建三さんなんですけど。
二宮 そうなんだ。愛媛県人。
上田 愛媛県人よ。今治の人ですよ。この先生(=二宮)、今治の大先生なんで。
二宮 違う、僕は八幡浜。
上田 で、丹下建三はおそらくそれを意識したといわれてるんですよ。つまり、原爆慰霊碑ってこうトンネルになってるじゃないですか。あそこから原爆ドームが見えるんですよ。で、これが丹下建三が意識した被爆都市ヒロシマの聖なる線なんですよ。ということを意識して丹下建三は平和公園自体を設計しただろうといわれているんですね。で、これはですね、鈴木ヒロユキさんっていう大変高名な建築家がいらっしゃいまして、『日本の事例』っていうちゃんとした本がありまして書いてある。私の独想ではありません。引用なので念のために申し上げますが、ただ鈴木さんという建築家が書いているのはそこまでなんですよ。つまり、原爆慰霊碑のトンネルから原爆ドームを見るっていうのが、広島の街そのものを慰霊するっていう聖なる線であるということを書いているんです。でね、広島の方はご存知だと思うけれども、この線を、道路渡ると何があるかというと市民球場があるんですよ。だから、市民球場のある場所っていうもの自体が、広島の聖なる線の延長線上にあるっていうことなんですね。これは私の独断です。
二宮 だからようするにあそこの場所は残してくれっていうことね?
上田 だからあの場所を動かすっていうことは、原爆都市であるヒロシマっていう存在自体の意義を否定することになるんです。だからこのラインは、聖なるラインは、守らないといけないんです。ということを多分市の人は分かってない。
二宮 上田さん、ちょっと、分かった。アンケートとってみましょう。じゃあ、二つ言います。今の球場を拡張すべきだという意見の人はちょっと手を挙げてください。…じゃあ、ヤード跡地に市民球場を建設した方がいいという人は手を挙げて下さい。…半々ぐらいか、やや前者がおおいくらいですね。6:4くらいですね。で、今のままでいいっていう人、手を挙げてください。…これはさすがにいないですね。今のままでは誰もいいと思っていないわけですね。分かりました。その意見はですね、きっと中国新聞の方で明日は記事に出るんじゃないかと思いますけどね。(会場笑)
続きまして本質でね、なんやかんや言っても球団がね、川口さんが言ったようにね、魅力がなければいけないと。カープは今年は見事に五位ですか。ね。一厘差で助かったかなんか。
田辺 一厘差です。
二宮 一厘差ですよね。本当にどう言えばいいか悩むんですが。
川口 皆さんに聞きたいのは、カープに何が足りないかっていうのを。
二宮 先に聞きますか。
川口 聞きましょうよ。
二宮 じゃあ、カープに足りないのは何かっていうことで、どんどん声を上げてください。
客席1 センターラインの強化。
川口 なるほど。
客席2 経営力がありません。これははっきり言えてます。新球場の問題と、カープの球団改革っていうのはセットで考えるべきです。
二宮 賛成。
客席2 いくらいい球場ができても、コンテンツとして球団が面白くなかったらただの箱物ができるだけです。だからそれはセットで考えてください。
二宮 大賛成ですね。他には?
客席3 コーチをもっと広島の人じゃなくて、もっとどんどん…
二宮 コーチ?例えばどういう人がいいんですか?
客席3 例えばピッチングコーチだったら権藤さん。
二宮 おー、権藤さんねー。
客席3 もっといろんな球団で実績をあげた…
川口 鎖国をしてないでもっとどんどんよそから持ってこいと。
客席3 あとは、外に行った正田さんとかなんで帰ってこないんですか?
川口 それは言えないことがいっぱいある。(会場笑)
客席3 それは僕も知ってるんですけど。
二宮 井端がいてね、荒木がいてね。川相がそこにちゃんと教えてね。センターアレックスでしょう。
川口 キャッチャー谷繁。ピッチャーはしっかりしてる。僕はこれはまさしく、広島が勝つためのシナリオだと僕は思ってるわけですよ。
二宮 田辺さん、その辺どうですか。
田辺 そうですね、今おっしゃったように中日のコーチは元カープの人が多いわけで、カープ今になってですね、ああいう野球がしたいなあと首脳陣がおっしゃってるわけですよ。まあ、逆輸入ということになってしまうんですけども。ですから来年は外国人の二遊間はやっぱりだめだと。例えばもう一回東出に頑張ってもらって、尾形佳紀とか、ちょっと今肘が痛いんですけど岡上とか。あの辺をやってみようというプランもあるんですけども、しかし本人たちの実力との兼ね合いもありますから、いきなりね、それじゃだめですから。
二宮 僕はシーツを出すのは失敗だと思うね。シーツが入って急にザルがひきしまったじゃないですか。(会場笑)若い選手も嫌いじゃないですけどね。
田辺 すいませんね。お金がないんです。
二宮 やっぱりね、もう目瞑りますよ、東出の前に来た時は。(会場笑)はっきり言って。
川口 二宮さん、僕ね、カープにお願いがあるのはヘッドコーチ古葉さんにしてほしいんです。
二宮 古葉さん?それはどういう方向で?
川口 古葉さんの野球っていうのは、僕は広島の野球の原点だと思うんです。そう思わないですか、皆さん?
二宮 川口さんが入った時、古葉さんですよね?
川口 僕、仲人でしたからね。(会場笑)最近マスターズリーグでこき使われてますから。「もう一イニング行け、もう一イニング行け」って。
二宮 市長選挙は出ない方がいいと思いますけどね。
川口 そうなんですよ。あれ自体失敗なんですよ。あの前に一回カープで優勝してから市長選に出れば、間違いなく当選でした。(会場笑)あれは一歩誤ってるんですよ。まあ、神輿を担がされたっていうのもあるんですけどね。
二宮 ポスターも顔半分にしとけばよかったですね。
川口 だから今ね、僕はマスターズリーグで古葉さんと一緒に野球やってるんですけど、あの人はやっぱり今でも勝つことにこだわってるんです。
二宮 だったら監督でもいいんじゃない。
川口 監督でもいいっすよ。そこまで言えないから、俺は。だからせめてヘッドコーチとかね。やはりそういう重要なポストの中で、いかに裏方さんに気を遣いながら。僕はあの人の素晴らしいところはそこだと思うんですよ。裏方さんに対して非常に気を遣っていた。
二宮 そこは現役のユニフォーム着ていた人でないと分からないけれども、川口さんもいろんな人の下で野球やりましたよね。やっぱり古葉さんというのは裏方への気の遣い方とかっていうのは違いますか、他の監督と比べて。
川口 違うと思います。僕の中のいい裏方の選手はね、やっぱり給料が安いから、今牡蠣の時期じゃないですか。牡蠣打ちのお手伝いとかバイトとかしてるんですよ。それで生計を立ててるって自体がもうだめですね。
二宮 じゃあ、あの広島駅で売ってる牡蠣弁当なんかも裏方さんが獲ってるんだ。
川口 獲ってる。そういう人もいますよ。やはりね、広島は物価が安い、安いっていっても遠征してるわけですよ。やはりそれなりの裏方の、お手伝いだからっていっても縁の下の力持ちに対してもう少し還元してもいいんじゃないの。
二宮 それはカープでもね、川口さんは例えば阿南さんとかね、浩二さんとか三村さんとか達川さんとかとやったりしたでしょう。全然違う?
川口 そうですね。違いますね。要するに古葉野球っていうのは耐えて勝つ、守って勝つ。根本でしたよ。投手力を大事にっていう。で、阿南さんもそれを継承して優勝してるんですよ。浩二さんになって、一つ、浩二さんは打って勝ちたい。四番バッターとして、打つことでチームを盛り上げていこう。91年優勝しました。でも91年の優勝っていうのは、やっぱり投手力があったからこそだと思うんですよ。やはりその根本を忘れないように、やっぱりその野球っていうものは、広島の原点っていうのは古葉野球なのかなと僕は思うんですよ。
二宮 上田さん、どうですか?カープファン歴五十年。
上田 いや、46年ぐらい。(会場笑)そんな細かいことおいといて。
川口 でも上田さん、そう思わないですか。ヤクルトの野球ってまさに古葉野球だと思うんですよ。ヤクルトがこれだけ人があれでも上に来るのは、そういうところの地道な日々の努力だと思うんです。
上田 そうなんです。ヤクルトの選手がそんなにすごいとも思わないけれども、五位六位にならないですものね。
川口 いつの間にか勝ってた。いつの間にか負けてた、相手チームがね。
上田 それでね、俺、カープの強化っていうことでね、一つはドラフトの失敗っていうのを何とか変えない限りだめだと思ってるんですけど。その前に、俺、むしろ川口さんに聞きたいんだけど、今、キャッチャー苦しくないですか?
二宮 それ聞きたかったなー。聞きたかったなー。
上田 俺はプロではないので、キャッチャーをどうすればいいのか、カープのキャッチャーは。それをむしろ伺いたいですね。
川口 カープのキャッチャーねえ。進歩がないですねえ。やはりピッチャーとキャッチャーっていうのは信頼関係にあるわけじゃないですか。やはり今の野球っていうのはボールが飛ぶようになって、球場が狭くてどんどん飛んでしまう。当然ホームラン一本二本は当たり前で、酷い時には九本十本ポコポコ出るわけでしょう。だけど、それを恐れて安全にっていう場所がもうなくなってるんですよ。今の野球っていうのは、アウトコース低めに安全に投げてくださいよっていう時代じゃないんですよ。安全な場所はもうここなんですよ。ヘッドから一番遠いところなんですよ。インコースなんですよ。そこをいかに使って投げていくかっていうのが今の野球のヒントになる。やっぱり古田が高めを使ってリードするっていうのは、やっぱり達川さんがそのまま古田に変わったっていう、そういう巧さを持ってるわけですよね。
上田 それでね、俺思うんですけど、今年のカープの試合って石原が多かったじゃないですか。で、僕、別に石原に喧嘩を売る気はないですけど…
二宮 売ったっていいよ。(会場笑)
上田 ただ彼のリードは九割五分低めだと思うんですよ。つまり頭の中にね、高めというのがないキャッチャーなんです。
川口 胸元がないのね。
上田 ひたすら低いとこ低いとこ低いとこいくのね。
二宮 それはねえ、田辺さん去年までRCCにいたんですよ。田辺さんがね、僕を時々ゲストに呼んでくれてね、僕がねえ、田辺さんね、石原の「次ここ投げます」って僕が見てて全部当たるんですよ。(会場笑)僕が見てて当たるのがね、プロ野球の選手が知らないわけないじゃない。
田辺 ですから踏み込んでね、遠いボールでもカチーンと打たれましたよ。
二宮 でしょう?でね、これね、僕、今日も実はある選手に、違う球団に会ってたんだけどね、石原のリードは分かるっていうんですよ、みんな。いや、本当。センターラインは一番大事、もちろんそれはその通りなんだけど、まず要をなんとかしないとあかんのやないか。
川口 それはそうです。もちろんキャッチャーですね。
二宮 岐阜商業でしょう、あの人。岐阜商業っていうのはキャッチャー向かないんですよ。(会場笑)いや、本当ですよ。だってね、西武の和田がそうでしょう。和田はインコースは投げさせられないからってバッターに変わって成功したんですよ。石原バッティングいいじゃないですか。あれね、これ僕の想像。これ僕、岐阜商業の監督に会ってないから分かんないんだけど、多分ね、あまりそういうカルチャーがない。だったら石原は肩もいいし、外野にしてバッティングをいかしてね、第二の和田をやらせる。そしてキャッチャーはやっぱりちょっと無理ですよ、って田辺さん、早めに言った方がいいんじゃない?
田辺 バッティングは確かによくなってきてますよね。
二宮 そうしましょうね。(会場笑)
川口 ピッチャーで一番速い球って真ん中高めなんですよ。そこに対して思い切り手が振れるわけですよ。それがね、狙って何球いくと思います?いかないっすよ。大体ぶれるじゃないですか。ぶれて正解なんですよ。だからそういうカウントに持ち込むように、カウントを持ってくればいきてくるわけですよ。それを外だ、内だ、外だ、内だ、低めだって構えてるでしょう。バッターだって低めに構えてバット出してきてるわけだから。その辺の考え方がね。
二宮 キャッチャーももちろんアキレス腱っていうのはここにいる方みんな分かってると思うんだけど、やっぱり投げる方だね。これがね、昔だったら外木場、安仁屋とかね、大石弥太郎とか白石とかカープのローテーション固かったんですよ。川口さんの時代は川口・大野・北別府とかね。だいたいローテーションが強い時はやっぱりね、固まってて強かった。今続けて勝てるピッチャーいないでしょう、二年、三年。これどういうことなんですか。
川口 いないですね。やはり打者のレベルが上がってきてる。やはり一番から…今クリーンナップって言い方しなくなったじゃないですか。昔のバッターって、クリーンナップ、三・四・五じゃないですか。今はっきり言ってクリーンナップって、一・二・三・四・五・六・七・八がクリーンナップなんですよ。そこまでホームランが打てて、足が速くてっていうのが今の野球なんで、休まるところがない。だからピッチャーが勝てない。エースがこれだけ、エースと呼ばれるピッチャーが負け星が増えてるっていうのは、ボールが飛んでしまう。で、打撃力が上がってる。じゃあ130キロ、僕らの時代っていうのは132、3キロでも抑えてるわけじゃないですか。北別府さんが速かったかっていったら、速かったわけじゃないですよ。132キロ、134キロのストレートで、シュート・スライダーを交えて達川さんとバッテリーを組んで抑えてたわけだったじゃないですか。今145キロ投げてたら普通にカーンってホームラン打たれる時代でしょう。じゃあ、その145キロをいかすボールがないんです。ということはカーブを投げれるピッチャーが少なくなった。チェンジアップを投げるピッチャーが多くなった。アメリカにかぶれてるやつが非常に多くなったんですよ。ここに、日本の野球の原点がなくなってるんです。で、なおかつ酷いのが、カーブを投げたら審判がストライクと言わないんですよ。
二宮 とらない。
川口 とらないんじゃないんですよ。投げるピッチャーがいないから、とれないんですよ。高めからスーッと低めに入ったら、低いからボールって言うんですよ。ふざけんなバカ、っていうんですよ。(会場笑)
二宮 川口さん、熱いねー。あんたやっぱり、マウンド上がれる。
川口 だからチェンジアップだとかね、サークルチェンジだとかね、ふざけるなって。フォークだってそうじゃないって。日本の野球の原点っていうのはストレートとカーブのコンビネーションなんですよ。
二宮 そのね、ストレートとカーブを投げるね、基礎体力みたいなものが、ちょっと川口さんね、カープに入って厳しい練習したじゃないですか。走って走って、ピッチャーはスタンスを広げなければいけないとかね。
川口 鬼でしたよ、ええ。(会場笑)コーチが鬼に見えました。いつか殺してやると思いました。(会場笑)
二宮 コーチ誰?
川口 大下さん、大石さん、外木場さん。僕が二軍の時は。
二宮 「殺す」って言ったら包丁持って来る人いっぱいいるよ。
川口 藤井さんがヘッドコーチだったけど、逆に藤井さんに殺されそうになりましたもん。
二宮 そういう風な基礎体力を養えるコーチングを今やってないんだよ。
川口 いや、分かってないんですよ。カーブを投げる投げ方と、フォークを投げる投げ方は根本が違うんです。じゃあ、佐々木がフォークが落ちてカーブが曲がるかというと曲がらないでしょう。実質的に腕の使い方が違うわけです。
二宮 野茂もね、フォークは凄いけどカーブは曲がらない。
川口 そうでしょう。じゃあ何かというとフォークとカーブは腕の使い方が違うんです。
二宮 そういうことは誰が分かってるんですか?コーチが分かってる?
川口 誰も分かってないんでしょうね。投げる本人も分かってないでしょうね。だから自分をコントロールできるだけの理解力を自分の体が覚えてるかどうかってところもあると思うし。
二宮 まずは体を作る前にそういう考え方をなおさなければならないんだね。
川口 そうです、そうです。今工藤がカーブを投げると…工藤が第一人者でしょう、左の。それだってカーブを投げた時に審判がボールって言いますからね。
二宮 工藤がね、特にセリーグは厳しいって言ってました。
川口 厳しいんじゃないんです。ようとらないんです。昔の福井さんだとか、山本フミさんだとかは、平気でストライクってとってましたよ。自信を持って言う審判が非常に少なくなった。
二宮 要するに厳しいっていうのは外れてのボールじゃなくて、見る目がないってことね。目利きの審判がいないってことね。
川口 それ自体が日本のレベルの、野球のレベルが下がってしまってるってところがあります。

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